さて本日。
22TH アニバーサリーマンス の幕開けとともにスタートするのが " EDWINA HOERL "。
キマシタよ、エドウィナですよ、エドウィナ。洗練されてるんだけど、どこかレトロで懐古的な色使いやシルエットが今の気分にハマります。
さて、今季のテーマは
" PLEASE CONSIDER ME A DREAM ; 僕を夢だと思って下さい " 。
長文におよぶテーマの内容は記事下に記載しておきますが、ポイントとなる今季のオリジナルファブリックは " DREAM CATCHER / 59% CU, 33% CO, 8% LI ORIGINAL " とされるグレーとシロの絶妙的な中間色、そして " REALITY / 92% VI, 8% RA ORIGINAL JACQUARD " とされる黒と焦げ茶の中間色でファブリックを表現しています。
ほんとに良いです。今回のコレクション。
ぜひ見て頂きたい。
最初に届いたのは定評のあるトロっとしたロングスリーブシャツの " EH38SH-03 " 。
そしてエドウィナらしく柔らかな印象の スウェットフーディ " EH38J-04 " 。
NEW !
EDWINA HOERL / EH38SH-03
100% CUPRO
¥30,000 (+ tax)
made in JAPAN.
NEW !
EDWINA HOERL / EH38J-04
BEIGE / 100% COTTON
¥25,000 (+ tax)
made in JAPAN.
NEW !
EDWINA HOERL / EH38J-04
GRAY / 100% COTTON
¥25,000 (+ tax)
made in JAPAN.
NEW !
EDWINA HOERL / EH38J-04
PURPLE / 100% COTTON
¥25,000 (+ tax)
made in JAPAN.
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夢が現実になるとき、あるいは時とともに破れてしまうとき、一体どうなってしまうだろうか。夢が欲望を目に見える形にしたものであるとしたら、これは流行の物語のイメージ化であ るともとれるし、抑圧された密かな欲求を見せることで、その欲望を禁じる物であるともとれよう。ジル・ドゥルーズ[i]とフェリックス・ガタリ[ii]が創始した「欲望機械」[iii]という概念は、 テクノロジーが根幹をなす世界にあって、リビドーによって稼働する潜在意識の体現を意味する。この両者にとって、潜在意識とは、「欲望機械」の形をとった欲望が現実を生産してゆ く工場なのである。欲望は我々の欲求が世界と互いに結び付いたものである。この欲望は欲望機械を稼働させるだけではなく、装置そのものでもあるのだ。夢はイメージをさらに再 生産する。欲望が現実を形成してゆく一方で、他方、欲望は規則、理想像ないしライフスタイルとしてのイデオロギーと文化産業によって規定されてゆく。
こうした既定の欲望からはどうすれば自由になれるのか。文化の影響下にない夢と欲望のイメージがあるだろうか。欲望と人生の夢は自己像と(ポップな)文化の理想像との出会い の上で形作られている。この理想像とは、ハリウッドの大ヒット作やYouTubeの動画、アニメーションや文学、音楽、流行その他何であれ、外部からの影響によって生み出され、あるい は伝統や社会化されたものとしてすでに我々の中に内面化しているものである。現実と理想像の関係は、理想的であるべきだが、実際にはそうでない欲求や欲望、夢のイメージを経 て規定されている。現実にある物とのギャップの中で欲望と夢はその効果を発揮するのである。
生活の発展や社会の未来像への期待は多くの点で科学技術の進歩と関連している。なにより人工知能の開発には、大きな期待と不安が等しくかかっている。それでもユートピア的社 会について語られるとき、とりわけ技術の実用のみが問題とされ、社会がテクノロジーの大企業によってのみ設計されるようなことになってしまえば、そのテクノロジーの先にはもは や理想郷は残されていない。ユートピアのモデルではテクノロジーは、開発の分野と実用の分野とに区別される。後者では例えば労働の機械化、生合成ないし関係のデジタル化によ って、生活圏の改善が様々な面で技術的に改善されるようになる。これに付随する影響はほぼ予測しえない。それはなにより、科学技術による理想社会は社会政治的な構想には依拠 していないからだ。アルゴリズム化された未来のイメージは、社会的・政治的な変化に関連するものだけではなく、社会関係にかかわる物でも普遍的である。人間や、人格、主体から 主観性が分離してしまうことは一方でそれらの周辺化を促進させ、他方で新たな平等化、新たな形の抑圧ないし階級の変動とそれぞれの可能性も引き起こす。現実の夢と仮想の夢 の間の空間に生じるのはどんな夢、どんなニュー・ドリームだろうか。トランス・ヒューマニズムが夢見ているのはアルゴリズムが世界の根幹となり、人間の側がアルゴリズムへ適応す ること、あるいはデータ化した脳のダウンロードである。これには不死の夢がかかわってくる。永遠の命は肉体の放棄ないしは脱却、あるいは人間のアルゴリズム化によってあがなわ れるのだ。ギュンター・アンダース[iv]は六〇年代にすでにこうした「プロメテウス的羞恥」について述べている。人間が機械に対して抱く一種の劣等感情である。
機械学習(マシン・ラーニング)の結果の予測不可能性を鑑みれば、我々にいまあるのはテクノロジーの夢ないし悪夢であり、商業利用の範囲とデジタルによる監視を超えた共有財 産としての科学技術の利用のイメージ、テクノロジーを経済思想そのものとは見なさず、共通の夢の可能性とする経済モデルである。
我々はどんな夢を見ているのだろう――醒めてしまったのはどの夢だろうか。夢と希望は人を一つの方位へ向け、変化をもたらし、後退を防ぐエンジンである。それはあるいはもう先 のない終点へと向かうためのものであるのかもしれない。夢が挫折するときには、常になにがしかの悲劇が起こる。想像の世界と現実との、理想像と実生活との、この関係こそが重要 なのである。人間の想像の空間と夢はますますバーチャルの世界に規定されてゆき、それにつれて一層現実と区別できなくなっているのではないだろうか。あるいはそれを理想的 な、仮想の世界――瑕疵なきすべてが好ましい世界――への逃避と見なすこともできるだろう。夢の世界はシミュレーションの世界のなかへと、ますますその場所を移していってい る。競争やヒーロー達の物語にかかわる物だけでなく、感情の次元においても。
現実が過酷な物になるにつれ、理想への憧憬と経済への信奉はますます顕著になる。皿洗いが億万長者になれる――困難な仕事と人材の投入ができれば、誰もが上流階級に上り 詰めることができる――人はもう、そんなアメリカン・ドリームを見果ててしまった。成功譚はもとから常に例外的ではあったのだが、それが近年になってますます明白になってきた。 納得ゆく労働条件、権利と平等化という社会の夢はこの三十年の間に搾取と美化の装置である新自由主義の下にすりつぶされてしまったのである。
夢がひとたび現実になれば、それは日常となる。夢が潰えれば、トラウマにもなりうる。他方、夢が叶うことでトラウマにつながる結果を導くこともあるし、夢が叶わず幸いだったという 事もある。イメージと空想を現実化しようという欲望は、リビドーに次ぐ、憧れとしての夢の動力源になる。空想のイメージはいかにして生じ、広がり、伝わっていくのだろうか。我々の 夢は、メインストリームの物語を個人が現実に達成することだとか、タブーや決まりを破ること、規範や権力幻想からの解放なのだろうか。
夢が潜在意識の反映だとしても、それがむきだしのままだからといって、欲望と恐れをあるがままに映し出しているといえるだろうか。夢の中では、内面と外界が、人間の社会化と思 想が、メディアの作るイメージの世界と理想のイメージが直結しているのである。
それでも、夢は安らぎを与えてくれる場でもある。現実からの逃げ道や、空想の代替となる世界を与えることで、現実をどうにか耐えうるものにしてくれる。思弁的な空想の世界が演じ 続けているのは、原形の可能性である。夢の中でならカードは新たにシャッフルされる。役割や立場、アイデンティティ、条件や生活環境は新たに提示され、あるいは形作られる。
「甘い夢はこれで出来ているの。みんな何かを探している」――かつてユーリズミックスのアニー・レノックス[v]は八〇年代にこう歌っていた。愛と不安は夢にも悪夢にもなる原料の 感情である。愛は憧れと夢のモティーフであり、娯楽産業の中心要素となる。娯楽産業は欲望を構成し、憧れと欲望を同時に満たすためのイメージと楽曲を生産する。愛は欲望の対 象あるいは夢の素材としてロマンティックな感情への憧れを反映している。理想の恋人、理想的関係のイメージはそれとは逆に構成されている。誰に恋をするか、などといった事は 流行の理想像もしくはその反対像にもかかっているのである。現実の経験は夢が調整されたものとも見なすことができる。肯定的な意味でも否定的な意味でも現実が夢の世界を 取り持つのである。ドン・キホーテは風車に決闘を挑んだ。すべては現実に起こる可能性を持つが、また一つとして事実ではない。『ドン・キホーテ』というこの仮構の物語の中では現 実と幻想的なものが結びつき、そして波乱万丈で、脆く、不思議と堂々と失敗すべき運命にある。ヴィム・ヴェンダース[vi]の映画『夢の果てまでも』は夢の世界を(目に見えるように)描 く、新たなドラッグとしての夢の考察である。フィリップ・K・ディック[vii]の短編小説『マイノリティ・リポート』の映画版では突然変異した人間が、いわゆる予知能力者として未来に起こ るであろう犯罪を予見する。睡眠に近いまどろみの状態になることで、覚醒時には知り得ないことが分かるのだ。夢の活用や、道具化、コントロールはもう目の前に迫ってきているの だろうか。あるいは我々はとうにその過程にあるのだろうか。
不可能に見える事に可能性を夢見ることは慰めと幻想であり、また、未来への展望かつ自己欺瞞でもある。夢に潜む無数の選択可能性こそが、その魅力なのである。
ザビーネ・ヴィンクラー
翻訳:清水恒志
[i] フランスの哲学者、思想家。(1925~1995)ミシェル・フーコー、ジャック・ラカンと並ぶ現代フランスの知的指導者の一人。主著『マゾッホとサド』ほか。
[ii] フランスの精神科医、哲学者。(1930~1992)。
アンチ精神医学運動の指導者の一人。主著『千のプラトー』ほか。
[iii] ドゥルーズとガタリの共著『アンチ・オイディプス』(1972)に登場する用語。
[iv] ドイツの詩人、哲学者、作家。(1902~1992)技術の発展に伴う人間性の破壊について論じた。
[v] イギリスのミュージシャン。(1954~)バンド「ユーリズミックス」のボーカリスト。
[vi] ドイツの映画監督。(1945~)『ベルリン・天使の詩』『都会のアリス』ほか。
[vii] アメリカのSF作家。(1928~1982)『高い城の男』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』ほか。
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